Posts Tagged '太田螢一'

絶海

詞:太田螢一
曲:上野耕路

“絶海” is a song released by ゲルニカ and included on their second album 新世紀への運河 as track #14.

八重の潮路を 遥かに越えて
アワビの貝殻 眠りの小舟
珪藻泡立つ 波間を滑る
夢遊に数える 波のメトロノーム
いざなう暖流 漂うままに
やがて遠く流れつく
 尽きる事なき海原のはて

かなた絶海 地球の終わる島
かなた絶海 時のない至福の土地

七つの海洋 遥かに越えて
降り注ぐ太陽 光線の里
珊瑚とりまく 原色の孤島
虹色の羽根の 蝶達は踊り
花々は唄い 蜜をこぼす
こがねの瞳の子供らは
 真珠をいただいて眠りに落ちる

かなた絶海 神々の楽天地
かなた絶海 時のない至福の土地

曲解說:

溶けるような弦を主体とした前奏とともに南海の悦楽と官能とが
歌われる。

遙か遠き海原の果てに桃源境を夢見るあまり恍惚としてしまうか
らといって何ら後めたい気持ちに捕われなくともよろしい。
人は誰しもそんな至福の土地への瞳景を、心の片隅に宿しているの
だから。

そこでは緩慢な時の流れが羞恥や悔恨すらも洗い流してしまうという。

この曲ての戸川は、南海の女王といった風情を巧みに演出していろ。

髑髏の円舞曲

詞:太田螢一
曲:上野耕路

“髑髏の円舞曲” is a song released by ゲルニカ and included on their second album 新世紀への運河 as track #13.

炎の酒にこの身を燃やし 金の杯掲げれば
遠き時代の幕間抜けて 闇の舞台に蘇る
真紅のマントの骸骨達
剣の舞はしじまに冴えて
宴は巡る 月光映えて

カラカラ響く髑髏の笑い
カタカタ回る 髑髏は踊る

乾いたベーゼ この身を溶かし
繻子のガウンの裳裾を乱す
燭台浮かぶ過ぎこし栄華
蜘蛛の巣あやとる やかたの夢か
奈落の魂 広間に集い
死せる舞踊に従うつまさき
宴は巡る 果てなき夜に

カラカラ響く髑髏の笑い
カタカタ回る 髑髏は踊る

曲解說:

没落したさる贵夫人は、廃虚と化した館の大広間て、夜こと過きさった栄華に思いを馳せるのてあった。彼女な見下す先祖たちの肖像画の目が一際異樣に光るとある夜、一族ゆかりの者たちが永の眠りにつく霊廟の方角から舞踏会にても赴くかの如き賑やかな話し声のー団がこちらへと迫ってくる。驚愕する隙もなく大広間はマントを羽織り骸骨と化した昔の亡霊たちに埋めつくされてしまった。そして何処からともなく流麗なワルツの調が館中に響き渡り、亡霊たちの壮大な宴が今や始まった。昔の騎士たちは恭しく贵夫人をエスコート、久しく忘れかけていたギャラントリーな振舞に、蘇る尊厳は不気味さをも忘れさせ、なされるがまま彼女は舞踊の嵐の中へと飲み込まれていくのだった。それが彼女の死の舞踊となるとも知らすに……。

嗚呼、貴夫人の運命や如何に……。

電力組曲 c:電化の暮らし

詞:太田螢一
曲:上野耕路

“電力組曲 c:電化の暮らし” is a song released by ゲルニカ and included on their second album 新世紀への運河 as track #12.

電化する都市の暮らし
行き来する電車の速度よ
街路は明るさに満ちて
産業は能率を向上させる
ラジオではチューブが光り
ストーブには発熱するニクロム線
電球には閃くフィラメント
家々には数多くの電気製品がひしめく
歌い出す家庭のヒューズ
百ボルトの交流電気よ
扇風機の羽根は回り
洗濯機のモーターは響き出す
テレビジョンのブラウン管は受像する
電化の暮らし 電化の暮らし

電力組曲 b:電力の道筋

詞:太田螢一
曲:上野耕路

“電力組曲 b:電力の道筋” is a song released by ゲルニカ and included on their second album 新世紀への運河 as track #11.

回転するタービン
 火花散るスイッチギア
ほとばしるプラズマ 発電の凱歌
連なる碍子 立ち並ぶ高圧鉄塔
ケーブルを滑り 電流はひた走る
山間を縫い 谷間を越え
発電所から変電所へ
変電所から都市のトランスへ
町から町へ 家庭のコンセントへ
供給される文明の灯

電力組曲 a:ダムの唄

詞:太田螢一
曲:上野耕路

“電力組曲 a:ダムの唄” is a song released by ゲルニカ and included on their second album 新世紀への運河 as track #10.

人造湖 今 其の口を開け
 吐き出される厖大な貯水量
妙なる放流 人口の瀑布 水煙
 七彩の虹に染まる
羽根車 渦を巻き
ダイナモの轟きは電気の産声
遥か山岳の唯中 湧き起こる高電圧
電力の宮殿
 天にそびえるセメントの峡谷
弧を描くダムの威容
 迫られる電源開発!

曲解說:

この曲は三部より成る。まず最初は「ダムの唄」そして「電力の道筋」最後に「電化の暮らし」てある。既におわかりの事てあろうがこの三つの曲により、我々の手元に屆くまての電気の樣子が、順次 歌われるのてある。

现代の家庭生活における電気の重要性というものに改めて感心させちれるのてある。

あ、文明の灯よ!

交通賛歌

詞:太田螢一
曲:上野耕路

“交通賛歌” is a song released by ゲルニカ and included on their second album 新世紀への運河 as track #9.

拡張する鉄路 幹線道路の延長
トンネルの完成 立体交差の施設
わきがえる造船ドシク
鉄橋は輸送を支える
飛躍的な交通網の充実 時間の短縮

駆けめぐれ國土を 伸びてゆけ
 世界へ せばまりゆく地球よ

速力を增す動輪 排気音は歌い出し
デイーゼルは大地を駆る
躍動するのはビストン
伸び縮みするバンタグラフ
排水量の增大
大空にはへりウムの船 內燃機関の爆発

駆けめぐれ國土を 伸びてゆけ
 世界へ せばまりゆく地球よ

曲解說:

地球上は乗物の軌跡ていっばいだ。それらはもつれあう糸の樣てあり、もはやほどく事は不可能だ。その糸が断たれる時、我々は物資の窮乏に喘ぐ事であるう。愛しき人にももう会えないかもしれない。輸運の発達は、我々の空間に対する認識をくつがえしたのてあるが………

輪転機

詞:太田螢一
曲:上野耕路

“輪転機” is a song released by ゲルニカ and included on their second album 新世紀への運河 as track #8.

輪転機は回る 輪転機は止まらない
グルグルグル グルグル
グルグルグル フル回転
組まれる活字 もられるインク
夜通し働く印刷工

刷りあがる紙面 家庭へと配達

(二番 事件のスクープ 家庭へと公報)

飛び込んで来る 外電
コミュニケ トップ記事
湧き起る 事変 革命 クーデター
驚ろくべき 恐慌 天災 ストライキ
時時刻刻ゆれ動く世界
暗雲たちこめる国際情勢

新聞社に安息はない
街角には号外が舞い
デスクには特ダネの山
記者の目は事実を見つめ
ペン先は真理に走る

輪転機は回る 輪転機は止まらない
グルグルグル グルグル
グルグルグル フル回転
組まれる活字 もられるインク
夜通し働く印刷工

曲解說:

情報網の発達した大都会のタフな脇役—新聞。華々しさはTVのニュースに讓りながらも、休みも知らず天候も御搆い無しに多大な情報を滿載して配達されてくる強靱な着実さに拍手を送りたくなるのは我々だけてはあるまい。

そんな新聞に昼夜兼行て携わる人々の活躍が、フル回転て回り続ける輪転機とともに、都会的なジャズのリズムにのせて歌われる。

パノラマ・アワー

詞:太田螢一
曲:上野耕路

“パノラマ・アワー” is a song released by ゲルニカ and included on their second album 新世紀への運河 as track #7.

僕等はパノラマ きらめく謎の少年少女
僕等はパノラマ きらめく謎の少年少女

時代を映して 夜空に輝く
鏡の破片さ パノラマ・アワー
モダンの町では アンテナ伸ばして
電波の恋人 パノラマ・アワー
僕等はパノラマ(×4)

僕等はパノラマ きらめく謎の少年少女
僕等はパノラマ きらめく謎の少年少女

ひらめくストロボ レンズに見る夢
素敵なフォルム パノラマ・アワー
渦巻く地球の 軌道に乗って
楽しくピボット パノラマ・アワー
僕等はパノラマ(×4)

曲解說:

かて太田螢一が主催した美術集団「パノラマ・アワー」の第二回展覽会の主題歌として作られた、上野・太田コンビの初期の作品である。その後、上野が在籍していたハルメンズのレパートリーともなった。音階の上昇という簡単至極な前秦が当時のハルメンズ流エレクトリック•ポップを偲ばせ、この曲の一つの魅力となっている。パノラマ、すなわち「連続して現われる光景」とは、我々ゲルニカの一つ主眼てある。我々は五線紙の上て、レコード盤の上て、世界を旅し、聽いている方々にも御同行を促すのてある。

ボ•ク•ラ•パ•ノ•ラ•マ………

二百十日

詞:太田螢一
曲:上野耕路

“二百十日” is a song released by ゲルニカ and included on their second album 新世紀への運河 as track #4.

上陸する台風 恐るべき風速
荒狂う風力 吹荒ぶ暴風雨
降雨量の急增 河川の氾濫
浸水家屋には 沢山の被災者
慌しい気象概況
迫り來高潮 急激な気圧の低下
觀測所のしーダーは
 いさ速く急を知らせる
測侯所のラジオゾソデは情報急ある
気象台は次々に注意報を発令
迅速な救助作業は休みなく続く
防災の科學 くい止める被害

めまぐるしい気象の变化
 災いは今や過ぎて
流れ飛ぶ黑雲の合闇より
 こぼれす幾筋もの光
屋根でボートで 我々は見上ける
拡がりゆく無限のコバルトを
 輝ける天界を
明けゆく二百十日に

曲解說:

気象の科学は目ざましい。災害を予知し、その被害を最少限にくい止めることがてきると言っても最早過言ではなかろう。

人類は気候をもその手中に収めてしまうのか?

しかし、これは人災ともいえることだが、オゾン層の破壞による?地球の温室化現象に伴う気候の激越化にどぅ対処するかが気象科学当面の課題てあろう。我々はその危機的状況の解決を心から祈ることにしたい。

水晶宮

詞:太田螢一
曲:上野耕路

“水晶宮” is a song released by ゲルニカ and included on their second album 新世紀への運河 as track #3.

花びら閉じて 蕾は眠る
その身を蔓に 縛られて
遠く天竺 唐草の
朧の光も 忘れたままに

曇るる玻璃の 遥かな宇宙
幾多の月の満ち欠け見たか
幾多の星の流れた事か
ギヤマン アラウネ アウトミシオン
ギヤマン ボンタン ハナノソノ

夜ごときらめく 硝子の伽藍
苔の絨毯 花粉を零す
彼方アラビア アラベスク
蜜を吸われし 記憶も消えて

曇るる玻璃の 遥かな宇宙
幾多の月の満ち欠け見たか
幾多の星の流れた事か
ギヤマン アラウネ アウトミシオン
ギヤマン ボンタン ハナノソノ

曲解說:

失われた楽園は今でもひっそりと息づいている。草蔭に潜む妖精の如くにそれらは人目に触れる事を拒んている。心なき人の無謀な一瞥はそれらを後かたもなく搔消してしまうという、 嗚呼……。